批評という仕事

音楽が降りてくるという本を読んだ。著者は湯浅学先生。昔はミュージックマガジンやレコードコレクターズといった雑誌で彼の文章をよく読んだものだ。とくにフランク・ザッパに関する記事とかには尋常じゃないエネルギーがあふれてて、こりゃ聴かなきゃという気にさせられた。当時は彼とマーク・ラパポート氏が大のお気に入りでした。また、「幻の名盤開放同盟」のCDはJ-Waveの深夜番組で飛び道具としてたまに使わせてもらったのを覚えている、変な串かつ教室とかよくかけてたなぁ。根本敬先生を取材させてもらったときに、ご本人とすれちがった気もする。いまから20年くらい前の話だから記憶定かじゃないけど。

彼の批評については、何を言いたいのか分からない、といったコメントも2ちゃんなどで散見するが、わたしは彼の文章が好きだったし、今でも好きだ。なぜなら、たとえ書いてあることが理解できないときがあっても、そこには全身全霊を込めた覚悟だけは感じとることができるから。(こんなこと書くと、もろ電波系と言われてしまうか・・)だから仮に聴いたことのない音楽についての文章であっても、行間からおぼろげに音のイメージが立ち上がってくるほどの力がある。わたしがミュージシャンだったら、こういう人に自分の作った音楽について書いて欲しいと思うし、それを目標に音楽を作りたいと思うだろう。そして、こういった気持ちを喚起するというのが、本当の意味での批評なんだと今ごろ気づいた。彼はその点で稀有な批評家であることを再確認できる本ですじゃ。