Memories of Murder

memoir

韓国で大ヒットした「殺人の追憶」という映画を見ました。実際に起こった連続殺人でいまだに犯人が捕まっていないという事件を題材にしている。映画でも真犯人の全身を見ることは最後まで叶わない。見終わって配給会社の担当の方は黒澤明の「天国と地獄」に言及していた・・・あっちは犯人が捕まって終わるが、それでもなお後味が悪い。その印象は確かに共通している。「天国と地獄」は明らかに横浜が舞台で、都市に潜む闇の部分を描いていたが、「殺人の追憶」は田舎が舞台・・・こう考えていくと、どうもあらゆる点で「天国と地獄」をリバースしたのかもしれないという気がしてくる。黒澤はあらゆるコミュニケーション手段を使って行なわれる犯罪とその捜査を描き、ポン・ジュノ監督はすべてがディスコミュニケーションから発している。ソン・ガンホは殺人が起こった現場で声を枯らして証拠を残そうと努力するが、無視され、証拠は踏みにじられる。犯人の顔を目撃した唯一の人物は、刑事の呼びかけに答えることができない・・・時代を感じることができる映画作家のひとりであることに間違いないと思う。

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