“若者の前で昔話は禁物である。しかしそれくらいしか話すこともない。最近はおれが姿を現した途端、若者たちは蜘蛛の子を散らして逃げるようになった。おれも全速力で追いかけながら「インクスティックがあった頃〜!」「六本木WAVEの地下に〜!」と絶叫してる。” ●
“先日はひとり逃げ遅れた学生が下水溝で立往生してたので、マンホールの蓋を開け「宝島が小さいサイズで表紙がジョニー・ロットンとかだった頃〜」と得意の昔話をカマしたら、発作的に溶けた鉛を耳に流し込んだ。昔話を聴くより聾になる料簡なのだろうが、それくらいで止める訳にはいかない。筆談である” ●