Ric never fails

その昔は何時間でも徘徊していたCDショップだけど、昨今は諸事情あってほとんどゆっくり見てるヒマがない。たまに行くショップもほとんど決まってる。新宿ユニオン中古センター、ソウル館、そして本店4/5階くらい。それに、国分寺ユニオンがたまーに。まあ、言ってみればユニオン奴隷みたいなもんですな。で、チェックする棚もほぼ決まっている。Peggy Lee、Bonnie Raitt、Aretha Franklin、Mavis Staples、ラテン中古新着とElis Regina、Ivete Sangaloくらい。どれも大物で、なにをいまさらと言われそうだが。

新しいアーティストとの出会いはイトウカイロ院長と一緒に行くレコ屋ツアーぐらいだろうか。チカーノものとかErnie Grahamとか、いつも教えてもらうことが多い。

それにしても昔は野郎ばっかり集めてたような気がするが、最近のマイリストには女性アーティストが多い。なんでだろ。Ry Cooderはそんなチェックリストに残ってる数少ない男性音楽家。先日もセンターのライ棚をかき回していたら、見たことないジャケットが引っかかってきた。

こんなやつ

おいおい、新しいアルバムかよ。普段から情報に疎い私は2009年の印がついた紙ジャケを仔細に眺め回した。が、どこにもライのクレジットは見つからない。代わりにあったのは、Ric Rubin先生の名前。おお、と軽くつぶやく。しかし、RicとRyの接点がどうしても想像できない。しばし迷うが、けっきょく確かめたい気持ち半分で大枚1,000円払って購入した。

結果、ライとはまったく関係がないことが判明。ユニオンのライ棚にあったのは、所属レコード会社プロモーターの画策か、単なる格納間違いなのだろう。そういえばこの間もロベルト・ロエナのアポロサウンド5と6のタグが入れ替わってたり、映画マトリックスの3枚セットブルーレイのタグがまったく違う(何だったか失念)作品だったりしたので、その流れで理解することにした。

して、その内容とは如何に?

これがとてもいいのだ。
サンフランシスコ・クロニクル紙曰く

the heavy sadness of Townes Van Zandt, the light pop concision of Buddy Holly, the tuneful jangle of the Beatles, the raw energy of the Ramones

「タウン・ヴァン・ザントの深い哀しみ、バディ・ホリィの切れのいいポップ、ビートルズのお行儀のよい猥雑さ、そしてラモーンズのむき出しのエネルギー」を併せ持ってるという評。

個人的にはちょっと誉め殺しな感じもするが、挙がってる名前がビートルズ以外どれも一般的にはシブいと思われるところが、このバンドのスタイルを表しているのかも。いずれにせよ、そんな世評はともかく私には最初からフィットしたからそれで良しとする。

そこでリックである。あ、この感じ。いまではレコードレーベルごとの風味の違いなんてほとんどない時代。アメリカンレコーディングスは貴重な存在だと思う。80年代DefJamはきちんとフォローしてなかったけど、Johnny Cash晩年の作品群はまさに金字塔だし、マスプロ時代にこの手作り感覚をかもし出すことができるのはほとんど神業としか思えない。久々に嬉しい出会いでした。

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