Strong taste

相変わらずペギー・リーにぞっこんなのだ。1957年、デッカから再びキャピトルに戻って最初のアルバムがこの「The Man I Love」。

オーケストラ・アレンジはネルソン・リドル、指揮してるのがフランク・シナトラという、当時絶頂期にあったコンビのバックアップ。内容はといえば、これはもうペギー・ファンの試金石、じゃない踏み絵といってもいい。無理に形容すれば、全曲大トロの蜂蜜漬け。収録曲はどの曲も素晴らしい。ヴォーカルはもちろん、アレンジ、演奏、どこをとっても最高である。ただ、全体のテンポがほぼ同じ、逆ラモーンズ状態。そして一曲だけでカロリー十分なのよねー、全曲通して聴いたら鼻血を出してもおかしくない。どんな楽曲でもこなせるペギーなのに、どうしてこんなスローでしっとりした曲ばかりでアルバムを構成したのだろうか。

The Man I Love
The Man I Love

1957年といえば、エルヴィスがエド・サリバン・ショーに3回目で結局最後となる出演を果し、グレースランドの家を購入して家族で移り住んだ年でもある。ロックが鎌首をもたげてきてた、いわばミュージック・ビジネスにとって大変動期に当たる。とはいえ、実質的な売り上げでいえばシナトラの方がまだ実績があっただろうし、ましてペギーのキャピトル復帰第1弾だ。「オレがDukeなら、ペギー・リーはQueenだ」とエリントン様がおっしゃってましたが、その女王様とチンピラ番長がプロデューサーを介さず作った、いわばクリエーターが好き放題にやった、この期に及んで許されないような孤高のアルバムだった、というのが私の推測。

正直ディープ・ペギー・ファン以外にはキツイかもしれない。一番最後に聴くことをお勧めしたい。でもオレにとっては身を投げ出すほど最高に痺れる一枚、鼻血出して倒れそうなくらいだ。

new bike

新しい自転車は気持ちいい。

走行距離のメーターもリセットしないと。
Scottで走った距離: 13154km

Giant

pc setting

体育の日はインフルエンザによる学級閉鎖で運動会が中止になったので、近場の高尾山に午後から出かけた。家からだと1時間足らずで麓まで行ける、ホント近い。年間の登山者数は260万人以上、富士山やエベレストを遥かに越えて、世界一の登山者数というだけあって、この日も多くの人が集まってた。果たしてこれが登山と呼べるかどうか分からないけど、子どもたちと一緒に楽しく散歩できて、かつ観光気分が味わえるのがいい。この手軽な感じ。

Takao
Takao

ある朝、いつものようにPCを起動しようとしたら、ディスクが見つからないというアラートが出て動かない。インストールディスクで起動する修復コンソールを使って、慣れないDOSコマンドなど操りながら苦闘していたが、けっきょくBIOSの設定がおかしくなってたのが原因ということが判明。「無効なBoot.iniファイルです」という警告が出るが、なんとか起動するところまできた。最後に、ここを参考にBoot.iniを書き直して完全復活、ふーやれやれ。と思いきや、こんどは「ゴミ箱」を空にしようとしたら「Desktop.iniは削除できない」と文句を言ってくる。それでこことかここを参考にchkdskを実施したら解決、ようやく完了と相成った。しかしこれってウィルスなのだろうか?よくよく考えると、つい最近Dead音源の膨大なライブラリー整理のため、HDD間で大量のファイル移動をやったのが原因かも・・・と思い至る。

Just another bottle

夜勤に自転車で出動したのは久しぶり。夜の走行は半袖ではもうけっこう寒い。職場に着いたときには冷え切っていた。夜勤明け、帰り道に三鷹の宮田酒店に寄って、こちらも久々に一升瓶をメッセンジャーバッグに突っ込んでペダルを踏んだ。昨今の焼酎ブームは終焉したのかわたしは知らないけれども、この店の焼酎コーナーは相変わらず充実。きょうは奄美の黒糖焼酎「朝日」30度を初めて買ってみた。泡盛と焼酎の中間の味わいというより、原料がサトウキビならば、むしろラム酒に近いのか。これまで賞味したことのない味がする、面白い。

just another bottle
Asahi

天気がよかったので次男に手伝ってもらいながら自転車を洗った。まずはチェーンクリーナーでチェーンをピカピカに。それから車用の洗剤をスポンジで泡立てて手洗い。濡れた路面を走ると砂や落ち葉などがフレームの下側やブレーキアームの裏側にくっつくので、丁寧に落としていく。そんでもって、洗剤をシャワーで流して水分を拭き取ったら、最後にチェーンオイルを注す。別に放っておいても走行にそれほど影響があるとは思えないが、わたしにとっては長い距離を無事に走るための大事なパートナーでもあるので、通勤2回でクリーニングするよう心がけている。モノにも魂宿るかもしれないし。

logistics

疑ったワタシが間違ってました。プレゼント用に子どもサイズのユニフォームを、ミラノのクラブ公式オンラインストアで初めて発注、11月の長男誕生日に間に合うようにと思って十分なリードタイムをとった。これまでバルサとアストン・ヴィラのユニを直接オフィシャル・ストアで購入してきたが、バルサはイギリスの会社に販売業務をアウトソースしてるらしく、メールでの問い合わせにも比較的レスポンスが早かった。ヴィラも注文から発送までほぼ1日、1週間ほどで手元に届いた。

で、今回はイタリアのチャンピオン、インテル。ホームページは手作り感にあふれ、(わたしは好きだが)商売っ気があまり感じられない。ただ、登録(無料)しておくと誕生日にオンラインクーポンが届けられて、これがなんと20ユーロ割引という太っ腹。
auguriimg
ユニフォーム1着に送料4,500円という法外な値段設定に購入を渋っていたけれど、そのクーポンの存在を思い出して踏ん切りがついた。もちろん、日本のサッカーショップでも買うことはできるが、基本的にキッズ用には選手の背番号や名前が入らないし、最新シーズンものがなかったり、送料を含めた値段もミラノから直接買うのとほとんど差がないのだ。公式オンラインストアであれば、選手はもちろん、自分の好きなマーキング入れても1万円以内。

ただ、これまではイギリスの会社が相手だったけれど、今回はイタリア。オンラインの購入用フォームからは日本の住所がきちんと入力できなかったので、フォローアップのメールをカスタマー・サービス宛に出したけど反応なし。イタリアだし、きっと時間がかかるんだろうなあ、と気長に待つつもりでいたら、注文から3日後にトラッキング番号などが書かれたメールがUPSから届いた。んーやるな、と思ったが、こんなサービスするから輸送費が高くなるのだ。でもおかげで、安心できる。そして発注から5日後に無事到着。驚いた、これまでのどのクラブより早い。繰り返すが高い輸送費だけのことはある。そして丁寧に返品、交換用のフォームまで同封してあった。貴族のためのサービスって感じ。ご丁寧に配達証明書までオンラインで発行されてた。

サービス:
UPS SAVER
重量:
.50 Kg
出荷日または請求日:
2009/10/05
配達日:
2009/10/08 10:24

欧州のサッカー・クラブにとってはレプリカユニフォームをはじめ関連商品の販売はビジネスの重要な要素。スペイン、イングランド、今回のイタリアとそれぞれ違いがあって面白い。バルサは有名選手が多くいるからか、値段設定が比較的低くてもやっていけるのだろう。つい買い物したくなる敷居の低さがある。一方、世界的には知名度いまいちのアストン・ヴィラは、バルサ以上に価格を低く設定して、とにかく売ることに熱心。先日最新シーズンのキッズ用ユニに次男のネームを入れて、ショーツ、ソックスまでセット、送料込みで7,000円くらい。日本ではありえない価格だ。そして今回のイタリア、インテル。値段だけ見ると殿様商売だけど、ファンだから許せる。それにしてもヨーロッパと日本の距離はずいぶん近くなったものだ。

surreal

チャンピオンズ・リーグのグループ・リーグ第2節、現地9月29日に行われたルビン・カザン対インテル。ルビン?カザン?いったいどこのクラブなんだよー、と思いつつ、調べてみるとなんとロシア・チャンピオンだったのね。その本拠地、ツェントラリヌイ・スタディオンはモスクワから800キロも東にあるので、キックオフも通常の欧州時間からは大きくずれ、日本のインテリスタにやさしい日本時間深夜1時すぎ。雑魚相手にインテル楽勝を予想した人も多かったと思うが、フタを開けてみれば予想を裏切るカザンの大健闘、ジョゼのネッラズーリは中盤の中心選手を欠くとはいえ負けてもおかしくない試合内容。結局1-1ドローに終わってわたしは深夜ひとりふーっ、と複雑な気持ちのまま床に就くことになった。

それから数日後、図書館で前から気になってた亀山郁夫「甦るフレーブニコフ」を借りて読み始めると、なんと出てきたのが、そのカザン。そして「ロシア詩の王」とも称されるヴェリミール・フレーブニコフが学んだのが、かの地のカザン大学。トルストイやレーニンが学んだことで知られる最高学府で、ロバチェフスキーというこれまた名前だけは聞いたことがある著名な数学教授の存在が伝統に息づいているらしい。20世紀初頭にこの詩人が入学したのがその数学科だったそうな。

ヴォルガが「ぼくは」といえば、
揚子江は「愛」と
ミシシッピーが「する」といえば、
老ドナウは「すべての」とつぶやき、
ガンジスの水が「世界を」と答えて
川の偶像は
緑の沃土を描くだろう。

ステキだねえ。1920年、フレーブニコフ35歳、死ぬ2年前に作った「ラドミール」という詩の一部(亀山郁夫訳)。風が吹いて桶屋が儲かる感じ、とはちと違うか。偶然の一致とはいえフレーブニコフとわたしの出会いは必然なのかもと勘違いしてみよう。それにしてもこの伝記けっこう面白い。1905年に日露戦争でバルチック艦隊が壊滅したことに大きなショックを受けたことが「対馬」体験と表現されていたり、ロシアでの調査で詩人の肉筆がほとんど判読できなかったとか、少ない資料の中からフレーブニコフの人となりについて一生懸命書こうとする姿勢が伝わってくる。フレーブニコフその人も生涯の夢がインド散策だったり、日本語勉強してたり、ロシア・アバンギャルド派という分類になるらしいが、考えてること、そしてその表現が、当時としてはかなりグローバルというかユニバーサル。ただ彼の作品は日本語翻訳が少なく、まとまった詩を読もうと思ったら英語訳になってしまうのが残念。

gtaste
G-Taste

飛ぶ取り落とす勢いの酒造メーカー、霧島酒造が限定で販売してる「吉助」、これがG-Taste。きょうためしにスーパーで買ってみた。裏ラベルに書かれている解説文がオカシカッタので、引き写しておく。

「G-TASTE」至福の味わい領域へ
1916年初蔵出し、創業者江夏吉介の質実剛健の気風は、百年の時を経て究極の味わい「G-TASTE」を誕生させた。純粋さ(GENUINE)、穏やかさ(GENTLE)、優美さ(GRACEFUL)、この3つのGの融合が時空を超えた至福の味覚「Gテイスト」の新たな扉を開く。

伝統と革新を両立させたい気持ちは分かるが、中途半端なシュールさに苦笑して首を傾げてしまった。ラベルのデザインはけっこうステキなのに、もったいない。裏ラベルを注意して読むひとはあまりいないからいいのか・・・。ちなみに今日のつまみは味付け海苔「わさび」。韓国海苔のわさびバージョンといったところか。ウマイ。わさびって偉大だ。

wasabi-nori
wasabi-nori

One Step Beyond

歌手、ジョニー・テイラー1970年のアルバムである。96年に再発されてるから、おそらく10年ぶりくらいに私のライブラリーの中から発掘され、ハードディスクに収められた。

onestepbeyond

なかなか贅沢なセッションなのでメモっときます。バックトラックが録音されたのはマッスルショールズとスタックスの2箇所。スタックスのほうは当然のごとくMGズ参上で、マッスルショールズ側もエディ・ヒントンがリードギター、バリー・ベケットがキーボードとしてクレジットされとります。そいでもって双方にメンフィス・ホーンズが(おそらく)参加。おまけにプロデューサーはデトロイト・ソウルの御大ドン・デイビスでござる。当時の黒音楽業界超豪華キャストとでも申しましょうか。トリュフとフォアグラ、キャビアの盛り合わせ。でも、この盤そんなに知られてないし、わたしも存在を忘れてたのはなぜでしょうか。

ひとつには訴えるオーラが足りない、そんな気がします。仏作って魂入れず、とまではいかないけど、甘露が足りない。あ、でも私には堪らない名盤です。だってねえ、そりゃそうです。だから自分のライブラリーからこのCDを救出できたことが何より嬉しい、ってそんなのライブラリーと呼べるのか。いつかきちんと整理したいと思ってるのだけれど、結局全部PCにリップしたほうが楽かなとも。

そしてペギー・リーです。なんという歌声なのでしょう。このケダルイ、ヌケの悪いくぐもった感じ。もうずいぶんと彼女のCDを買ってませんでしたが、先日国立ユニオンで65年、70年に発表されたアルバムの2in1CDを見つけたので、ほんとうに久しぶりに聴いてみました。

PeggyLeeThenWasThen

相変わらずの唄いっぷり(当たり前ですが)に打たれました。そこで思ったのが、たいがいのPeggy Lee好きというのは、ちょっと変なんじゃないかということ。彼女の魅力じたいが、そもそも分かりにくい。人に説明するときに、ケダルさとか、ヌケの悪さとか言ってもねえ。これはもう、たとえばこの絨毯の手触りが好き、といった物理レベルでの心地よさとでも言いましょうか、あの声が鼓膜を振動させる仕方が好きなのだ、としか言いようがない。この声を見出して、それをマスプロダクションとして流通させることができたのは、プロデューサーの力量もあるでしょうが、当時のアメリカの底力なのだと思う。