sick and reading

冷房でノドを痛めて発熱なんて久しぶり、カラダが弱った証拠だろう。寝床でうなっているオヤジを尻目に子どもたちは夏休み入りしてウキウキしているようだ。ずっと寝てばかりもいられなくて、図書館から借りっぱなしになってた本を読む。「金魚生活」は芥川賞を受賞した楊逸(ヤン・イー)の小説で初めて読んだ。最近の文学賞は外国人作家に授与するケースが続いているようにみえるけれども、基本的に綿谷りさとか金原ひとみなど若手の受賞と同様、話題集めの狙いなのだろうか、などと思いつつ。これだけ日本語で書けるってすごいと単純に感心させられる。カルチュアギャップは当たり前としても、日本の生活にだいぶなじんできた娘夫婦たち、そして日本で長く暮らす中国人婦人を登場させて2重なイビツさを演出してるのがウマイ。とはいえ、主人公がドンキやペットショップに親近感を感じるのはユーモアなのか。ドンキってアジアを感じさせるし。フフッと笑ってしまう。

関係ないが、私の体にはパブロンは合わないことが分かった。今回の症状だけなのかもしれないが、新エスタックイヴと比べてその効果には歴然とした差があった。そして、もう一冊は向田邦子全集のその2小説「あ・うん」。全集の1巻目はクラーい短編集で読んでいて気分が悪くなる作品が並んでいて、完成度云々の前に私にはちと向かないなと思ってた。にもかかわらず2巻目も借りてみたのは、ひょっとしてという気持ちがあったから。そしてその予想はあたった。門倉と水田というふたりの男を中心にした物語は短編集の形をとりながらも繋がっていて完成されてる。秀逸だと思った。ヤン・イーファンには悪いが日本語の豊かさでいったら足元にも及ばない。マーケットが求めてるかどうかを別にして、こういった作品をリリースし続けるのは大事なことだと思う。「あ・うん」を読んだあとに途中で止まってた漱石の「明暗」を読んだら、妙にスムーズなのが不思議だけど納得できる感触だ。これでまた橋本治の源氏物語に戻ろーか。それとももう少し椎名誠読んでみようかなー、へへ。