memo

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須賀敦子のエッセイを読んでいると途中からフィクションに突入しているときがあって少しとまどったのを覚えている。この堀江敏幸の本も実在する過去の名作をノンフィクションとして考えれば、そこからの引用を数多く含み、それらを堀江本人のフィクション(ただしこれも実体験をもとにしていると思われる)が結びつけ物語を構成している。まるでノーマン・クックの音楽を聴いているみたい。ノーマン同様、元の作品を知らなくても読めるように書かれているのは彼がすぐれた書き手であることの証明だろう。もちろん印象的なオリジナルフレーズも少なくない。忘れないようにメモ: 「無意識の判断だなんて、恰好のいい言い抜けにすぎない。判断としての無意識は、意識的な鍛錬ののちに生まれてくる反応だからである。」、「ひとは、なにかをつねに取りこぼすために生きている。そうでなければ記憶装置の容量は破裂して、なにも残らなくなってしまうだろう。」

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