とても楽しめると同時に妙に納得させられた、ミジンコの専門家による随筆集。新刊だったせいか、近所の図書館には最近になってやっと入荷、予約して読む。以前、別の科学者の書いたエッセイ集を読んだときには、なんだか自慢話ばっかり並んでいて途中で読むのをやめてしまったなあ。だいたい偉い学者ほど、自身の著作を出版する機会が多いわけだから、おのずと出版社とのつながりもあるというわけか。タイトルとつながる装丁ながら、いま教育機関が抱えるおおきな矛盾をさらりと指摘していたり、科学史、学会のバックグラウンド、時間、言葉など日常をカイミジンコ研究の視点からとらえてあるから面白い。四方田犬彦の「パレスチナ・ナウ」を思い出だした