ways to review

椎名誠の本をたまたま図書館で見かけたので初めて借りてみた。「ナマコのからえばり」と「続・怪しい雑魚釣り隊 / サバダバ サバダバ篇」の2冊。どちらも雑誌連載をまとめたもの。どこの書店に行っても必ず置いてあるから、たくさんの人に求められる売れっ子なのだろう。本文の中でもどれだけたくさんの原稿を抱えているかに触れている。でも実際読んでみて、お金を払って読む価値ないよなあ、と思った。だからオレは変わり者なのか、この感覚が分からない。これに1000円以上払うんだったら新宿中古センターでDevoのCD買うことをお勧めする。てか単行本にしちゃアカンよ、雑誌のコラムで十分、病院の待合とか美容室で読むので事足りる。一生懸命創作してる若い作家を育てるために出版社はお金を使うべきだ。

・・・なんだか悪口ばかりになってしまうので、気持ちを切り替えてポジティブに。

さすがである、椎名誠。非常におもしろい。書店を訪れて、見かけないことがない超売れっ子。今回は図書館の目立つ棚、フツーは新刊が中心に置かれている場所で手に取る機会があったので、モノは試しと借りてみた。酒、食、アウトドアといった趣味の世界に邁進して、オマンマいただけるわけだから、何ともうらやましいポジション、孤高の存在といっていいだろう。「ナマコのからえばり」と「続・怪しい雑魚釣り隊 / サバダバ サバダバ篇」の2冊。椎名節炸裂で、とりあげるテーマ、語り口などキラキラ変化して飽きさせない、笑える。が、オレは読まなくてもいいな、とも思った。わたしの限られた時間、少ない知的リソースをこれらの本に配分する必要を感じない。だって手先だけで書いてるもん。脳みそ使ってなさすぎ。これが、椎名誠なのか。

ダメだ・・・どうやってもポジティブな感想が書けない。ホントおもしろいけど、図書館で借りるなり、待合室の雑誌で読むべし。あなたの知的、経済リソースは別のものに投下するべきだ。とかいいつつ、トイレに行くときについ手にとってしまう。疲れたとき、リラックスしたいときにちょうどいい本なのかもしれない。文豪ばかりじゃ、逆に疲れちゃうもんね。そうか、そういうことだったのか。

アホか。

rainmaker

残念ながら雨になってしまった。実母がくじ引きで当てた日産スタジアムでのJ1横浜(Fマリノス)対大阪(ガンバ)のロイヤル・シートを頂戴して長男と行ってきた。ロイヤル・ゼリーみたいなものなのか。雨は防げるし、試合もとても見やすい、確かにロイヤルな感じかも。スタジアムに入って席に着くと客が少ないせいか、ビールを売り歩く人たちが巡ってくる回数が味スタに比べとても多く、これで快晴だったらと思わずにはいられなかった。いちおうなんちゃってFC東京サポーター、普段は味スタばかりなので、雰囲気の違いが楽しめて良かった。

ただ売店が少なく、売ってるスナック類も少なすぎ。あれだけビール売りがいるのにちょっとバランスに欠ける。あと天候の影響もあるかもしれないけど、メインスタンドのロイヤルシートっつうのはこんなものなのか、まったく盛り上がらない。味スタはそれほど大きくないので一体感を持ちやすいが、ここ(日産ス)はでかすぎるのだ。本日の入場者数25,610人は、この規模にあった観客数とはとてもいえない、まったくのスカスカ。同じ数が味スタに入ってたらけっこう盛り上がる数なのにだ。

実際、この巨大な施設の維持にいくらかかるのか知らないが、相当な金額だろう(とにかくデカイのだ)。これじゃあ日本のサッカー協会がホームゲームをセットアップして、少しでもその足しにしたくなるのも分かる気がする。しかしだ。先日行った埼玉スタジアムでは、同じ雨でもお客さんはたくさん入ってたし、ずっと盛り上がってたのをみてしまうと、クラブ側の努力が足りないのでは?と思わざるを得ない。

ただでさえ、フロントに問題あり、との印象が強いクラブだけに、中沢やマツ松田、山瀬などの選手がいなくなってしまったらどーすんだろ。大きすぎる箱と貧弱なクラブ経営術。アメリカではGMが破綻してしまうような経済状況なのに、日本はそんなに悪くないのか?GKのミスで自滅したFマリノス、そう遠くない将来にバランスを崩して破綻してしまう、そんなさびしいハナシを想像してしまった。

そーいえば家を出るのが遅くなってしまい、東京駅から新幹線のぞみ31号を使った。久しぶりに乗ったけど、相変わらず早くて快適だねえ。

apart

新人として1年余り、ともに仕事を担ってきた一人の若者が、今月限りで職場を去る。同僚といっても私より一回り以上も若い前途ある若者。やんごとなき理由により、本人の意思に反しての「円満退社」である。夜勤明けの引継ぎが終わって、同僚として最後の会話を交わすと、気のせいか彼の目がウルウルしているようにも見えたが、気のせいか。

彼にはずいぶんと偉そうなこと、厳しいことを言ったし、腹も立てたが、性格的には何の問題もない、と思う。仕事の仲間でなければもっとお互いの理解を深められた可能性もあっただろう。派遣切りという言葉が聞かれて久しい昨今、正社員でなくなる彼がどのような思いを胸に抱いているのか知る由もないが、まだ20代独身。わたしに言わせれば、今から何でもできる年齢だ。もうすでに次の職場が決まっているらしいから大きなお世話だろうが。

彼に対して厳しい態度で臨むことは、見本を示すという意味でも、自分の仕事をしっかりこなさなきゃいけないわけで、彼の存在によって気がつかされた部分も多い。そして最後の最後まで同じチームのメンバーたちと彼がどうやったら仕事を続けられるか、懸命に考え努力したし、彼も同様にベストを尽くしたと思う。しかし結果として長い目で見ればチームとしてのパフォーマンスを低下させてしまう可能性が高いという判断をせざるを得なかった。厳しいといえば厳しいし、当然といえば当たり前なことかもしれない。

ただ、いつか彼が化けてくれるんじゃないかという期待が、いつまでも消えなかった気がする。どこかで、私たちの指導、教育が十分じゃなかったのではないか、まだ改善の余地があったのではないかという思いである。ある時期、この若者を一人前にすることができたそのときには、周りにいる私たちも相当な成長を遂げているはずだと確信に似た気持ちさえあった。これって何だか宗教的だよなと思いつつ。

とはいえ、世の中何がどう転ぶか分からんし、彼が世界的な成功を収めないなんて誰も明言できない。そうじゃなきゃオレだってやってられない。

The Wrestler

映画「レスラー」泣きました。ミッキー・ローク主演の映画で自分が泣くことになるとは思わなかった。ほんとは「グラン・トリノ」見たかったのだが、もう影も形もなし。しかたなく、といった感じで、妻も半分クエスチョンマークを頭の上にくっつけていたけれど、町山智浩の2008年ベスト映画の記事を見せたり、ヴェネツィア映画祭で金獅子賞を受賞してることなど説明して同行に同意を得る。

しかし立川Cinema Cityはスクリーンの数が多く、場所も別れているので、もっときちんと調べておくべきだった。Webで予約してテキトーにあたりをつけてスタートぎりぎりに到着したら、違う場所を指示され、すでに上映開始時間を過ぎているので次回以降の上映になると言われ、見てみれば次は16:00。さすがに6時間も待つことはできない、と伝えると、窓口の女性はすぐに上映館のスタッフに電話連絡してくれて、遅れて2名途中入場できるよう手配してくれた。すばらしい、使えるスタッフだ。立川Cinema Cityブラボー!

で、ドリンクも買わず(というかカウンターはすでに片付けられてた)、駆けつけたらちょうどオープニング・クレジットが終わるところ。まどぎわ通信を読むと、その冒頭のシークエンスが重要らしいのだが、見逃したものはしょうがない。ただ、それがなくても主人公の置かれた境遇は、パイプ椅子に腰掛けてうなだれるミッキー・ロークの背中ですぐに理解できる。プロレスの世界もユーモアたっぷり、というかユーモアあふれるプロレスの世界を愛情を持って描いているところも好きだ。そして日本で先日亡くなったレスラーのことを思い浮かべながら、複雑な気持ちで見終わった。

家族という社会のセーフティネットはメンテナンスなしでは肝心なときに機能しない。だから、リスクが高くても、より居心地のいい「現実」を選択せざるを得ないんだよ、四の五の言っても痛いのはヤダからね、というのがこの映画のメッセージ。・・・なのだろうか。そんな悲しいプロットがロークにフィットしすぎだ。ホント泣ける。齢を重ねて相変わらず可愛らしいマリサ・トメイも、どん底の不安感を顔面に作って秀逸。

帰り道にラーメンスクウェアでつけ麺、妻はラーメン食べた。ここは、店の入れ替えを前提にしているのだろうか、インテリアとラーメンの印象がちぐはぐな空間だった。やはり店の雰囲気は、細部まで含めて、その味に影響を与える重要な要素なのだ。

certification

国家資格なんて縁がないものと思っていたが、仕事の関係で試験を受けることになって、2度目にようやく合格。もともと試験は苦手で、これまでの人生でうまくいったためしがなかったが、今回だけはけっこうしっかり準備できたので、最もグレードの低いクラスとはいえ、合格には自信があった。で、証書がいま話題の総務省から交付されるのだが、これまた申請に手間と時間とお金がかかる。何だかいいカモにされてる気がしないでもないが、せっかく合格したんだからという気持ちのほうが強い。

人形町の「うぶけや」は店構えと、応対してくれるおばあさんが絵に描いたような老舗モードでその空間だけ雰囲気が違う。それを伝統というのだろう。こちらも私にはあまり興味のない世界であったけれど、きょうは砥ぎに預けていた包丁があって、久々に江戸の空気感をしばし味わった。よく切れるようになっているといいな。

ここ最近、橋本治の「窯変 源氏物語」を読んでいて、いま4巻目。全14巻だから、まだまだ先は長いけれど、大変に面白いのでけっこうなスピードで読み進める。もちろんオリジナルは1000年近く前に書かれたわけだから、風俗や言葉使いなど現在とはかけ離れてる。しかし、そういったギャップを橋本治が埋めてくれるので、真髄がずんずん伝わってくるんですな。もう21世紀に暮らしながら日本人てほとんど変わってないんじゃないかと思えるくらい心情的には理解できる。光の君がやってることはトンでもないけどね。

たとえば、いまセレブといわれる人たちがやってることって、どんだけ衣装に工夫を凝らしているだとか、いい車に乗ってるだとか、いい仕事を得ているなどなど、ほぼ外面的なことについては平安時代とやってることは変わんない。ただ、教養的なところとかは文(ふみ)に技巧を凝らした歌を書いて送るのが、メールで絵文字大盛りの送信に取って代わって、何でもググれる割には求められる知的リソースの度合いはずいぶん低くなっている気がする。つまり、現代は自分の脳みそ使ってない人がどんどん増えてるんじゃなかろうか。そのへんは何をもって知的とするのか、その基準にもよると思うが。

move

とても重いサイトになってしまったので、http://weblog.nozacs.com へ一時引越し中。あまり変わらないような気もするけど。RSS Feedを購読の方は再登録してくださいませ。

結局、あまり変わらないので、差し戻し。10月以降にサーバ変更しようか検討中。

family matter

週末、次男の幼稚園で一緒だった地元の親たちが集まって清里、八ヶ岳に小旅行。家族はどこでも似たようなところがあって、小さい男の子はやんちゃで人の話を半分くらいしか聞いてないから、最後はゲンコツを喰らったり、強制的に命令に従わされたり、小さいけれど親子間で激しいやり取りがあるのが良く分かる。子どもたちは今回の旅行でいったい幾つのソフトクリームを平らげたのだろう、とフト写真を見ながら思ふ。高速道路のPAでも食べて、乳搾りしたあとに食べて、八ヶ岳の観光スポットになっている牧場を訪れ、数十人が行列しているソフトクリームを食べて、と日本人ってソフトクリーム大好き民族だよなあ、との感慨を新たにした。わたしは食べなかったけれど。そして旅館の大きな風呂は楽しい。とくに他にお客さんがいないときなど、けっこうハチャメチャ。次男は背泳ぎしてた。あと、高原は涼しいが直射日光は強い。気がつかないうちに日焼けしてた。印象的だったのが、草むらで鳴く虫たちの声。あー昔は良く聞いたよなあと懐かしい気持ちでいっぱいになった。帰りの高速道路はこれまで体験したことないほどの強力な渋滞だったけれど、楽しい旅行だったせいか、ヘラヘラ笑いながらPrinceとかをハミングしつつ過ごしたから気にならない。あーこーいうときにDVD観れるといいんだけれどねー。

Taste of Thailand

Thailand in Shinjuku

昨夜は昔の仕事仲間と新宿で会食。3丁目にある安くておいしいタイ料理の店だった。もうみな10年以上ラジオの仕事に関わっている。この業界は産業としてはトホホな状態が続いていて、わたしも数年前に別の業界に転職してしまったけれど、楽しい仕事であることには変わりないから、機会があればまた携わってみたい気持ちはある。だから好きな人は辛抱強く、よりよい番組とか楽しい時間を作り出そうと努力しているのが分かる。それでも最近雑誌などで「ラジオ大好き!」といったような特集を目にするたびに、あーこれはもう相当やばいんだろうな、と逆に変なことを想像してしまう。許認可業務である日本のラジオ放送局にいい人材がいないのだと思う。

平川克美の手がける「ラジオデイズ」は素晴らしいと思うが、彼を番組に出すインターFMはちょっと安易過ぎる。そんな話をしてたら、最近はラジオをどうやって聴くのか分からない人が増えてるんじゃないかと。あ、そりゃそうだ。Webで「ラジオデイズ」を検索すれば、一発でたどり着いてメインのコンテンツを手に入れることができるが、日本のラジオ局の場合はまだそこまでいってない。ラジオを取り出して、周波数を合わせなきゃ聴けない。Webで聴けるのは放送されなかった部分だとか、オマケの部分でしかない。私が携わってた番組は、本放送終了後に内容をWebにアップロードすることにしていたので、ある意味オンデマンドであったけど、ギャップはなくならない。

海外だとTEDとか、国内であれば東京ポッド許可局とか、わたしはインターネットで定期的にチェックする「番組」はあるが、スポーツ中継を除くとTVやラジオではすぐに思い浮かばない。あ、あった。NHK FMのウィークエンドサンシャイン。ホストのピーター・バラカンがラジオの楽しい部分を体現してると思う。中波はチェックさえしてないから、不勉強の謗りは免れないが。日本のラジオは音楽業界と同じくマーケット規模に比べて、そこに生活の糧を求める人が多すぎるのだ。いっそ、日本のラジオ局はみんなインターネットラジオにしちゃえばいいのに、なんてね。

drive away

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東名沼津インターからほど近いクレマチスの丘を家族で訪れた。前回来たときは一生忘れられないような土砂降りの雨で、庭も何もないだろうという感じだったけど、今回は気持ちのいい天気に恵まれ、夜勤明けにもかかわらず、というか夜勤明けだからこそ、フワーとして芝生に腰を下ろしてリラックスできた。ちょっと風が冷たかったが、屋外に彫刻を置いて鑑賞するのっていいね。子どもたちが走り回ってもあまり目立たないし。音楽もやはり野外がいい、小金井公園で夏フェスやってくれたらサイコーなんだけどな。

クレマチスの丘にある書店はアート関係の本が中心で、えらくハイブラウ。雑誌「暮らしの手帖」最新号で紹介されていたフリップブックが置いてあったので二つ買ってみた。ひとつ840円は暴利だと思ったが、おみやげ、オミヤゲ、記念の品だから・・・とおまじないを唱えて会計を済ませた。

帰りは三島にある鰻「桜家」で、日本酒と白焼きをいただく。おいしゅうございました。