圓生人情噺(下巻)中公文庫で「真景累ヶ淵」。もともとモギケンのブログでちらっと題名だけ見ていて気になってたのを図書館で借り出して読んだ。幕末から明治にかけて活躍した三遊亭圓朝が原作で、そちらも別に今年岩波文庫で出てるらしい。こんなに登場人物が次から次へと死んじゃう噺もスゴイが、それらすべてに因縁があるから、もうアナンダ・シャンカールのCDを聴いてるみたいなめくるめく感じ、いったいどこまで展開するのか空恐ろしい面白さとでも言おうか。それが落語家の語り口調で収録してある。字面で読んでいるとよくわからない言い回しも声に出してみると分かることが多々あるというのも面白かった。しかしこれが人情噺なのか。どちらかというと不人情な人物の相関図だろう。人情というと暖かいものをイメージしてしまうのは、「男はつらいよ」が40作以上も作られちゃう国に長く暮らしているせいかも。ソニーから圓生バージョンがCDで出てる、全部でCD8枚分。だいたい一回1時間やって15日間かかると解説にもある長編。今年「怪談」として映画化もされた。なるほどそのプロモがらみでモギケンなのね、と妙に納得。ちなみに圓朝作は青空文庫にてダウンロードできる。
KUA`AINA
マガった腰を直すためイトウカイロに向う。その前にちょっと鎌倉に寄り道。平日、雨の鎌倉はなかなか鄙びていてステキ。施術を受ける前に、すでに日本に来て10年になるらしいKUA`AINAでハンバーガーを食べる。しっかし高いハンバーガーだなあ。よせばいいのにサイドオーダーしすぎで腹いっぱいになってしまったが、施術が終わる頃にはお腹のハリもすっかりなくなった。カイロは食べすぎにも効くみたい。院長肝いりのCD、Jerry Jeff Walkerの「Bein’ Free」を貸してもらい聴きながら帰る。眼を閉じてヨレヨレで唄う感じの曲から、しっかり覚醒して前を見据えて唄う曲までさまざまなヴォーカルに、テキサス人脈の演奏が軽やかにまとわりつく逸品。イトウ院長曰く、子どもには悪い影響を与えそう、とのこと。
body
きょうは休み。昼から自家製パエージャ(パエリヤ)ということなので、近所のスーパーで買った激安スペイン産ワインを陽がふりそそぐ中キコシメス。
仕事でも家でも、変な姿勢のままPCの前に座っている時間がけっこう長かったせいか、最近は腰とか背中とかにコリを感じる、カラダが悲鳴を上げているのか。深酒したわけでもないのに朝起きたとき頭痛がするのも多分同じ原因だろう。自転車に乗ってても以前は痛くなかった腰に痛みを感じるようになった。自転車移動中はけっこう重い荷物をメッセンジャーバッグに入れているので、片方の肩だけにかなり負担がかかっていたこともわかった。ショルダー・ベルトをかける肩を左から右に変えたら、かなり痛かった左肩の不具合が次第になくなってきたのだ。これからはキーボードを打つときも背筋を伸ばさないとなあ。掘っ立て小屋で姿勢を正して漢詩を訳すゲイリー・スナイダーの気持ちをイメージしよう。
雑誌「考える人」でクロスレビューされてた内田樹「私家版・ユダヤ文化論」はテーマの割りにというか、筆者の語り口のせいで楽しく(といったら語弊があるが)興味深く読める。妻がTVで荒井良二特集を見て、コレクター宣言した。公式サイトによれば、これまで出版された絵本は全34冊。これだったら楽勝だろう。超マイナー出版とか自費出版とかなさそうだし。これから出てくるモノをすべてフォローするほうが大変だと思う。わたしはFats Dominoのコレクターになりたい・・・こちらは難易度ウルトラ高そう。The Fats Domino Pagesというサイト、もうホントに見てるだけでクラクラする。
total: 6239.3km
Citrus junos
leaf
Qur’an
「梅の花」吉祥寺店にて豆腐懐石。湯葉豆腐がうまかった。写真は目の前で豆腐を作る道具。出来立てを上海蟹、野菜、だし汁の3種類の餡かけにして食べられる。酒はオリジナルで竹筒に入ったもの。個室なので子どもたちが少々暴れても気が楽。窓の外の風景はユザワヤのネオンばかりが目立って、それほど素敵じゃないけど、サービスなど含めて十分満足できる。
最近読んだ「イスラーム不思議曼荼羅」では、世界中のムスリムはコーランを母国語ではなく、アラビア語で覚えているということが書いてあったので、インターネットで探してみるとKing Fahd Complexというところで音源として公開されている。これがけっこう膨大な量で、4人の読み手によるフル・バージョンがアーカイブしてある模様、しかも4人それぞれに味わいがあって、これは音楽といっていい。コーランの響きはインドネシア、バリ島の隣にあるロンボク島で体験したことがあるだけで、そのときは朝から眠りを妨げる、ひどくウルサかった記憶しかない。ところが静かな環境であらためて耳を傾けてみると、ロンボク島の街角スピーカーから爆音で流れていたコーランとはまったく印象が違う。この沁みる感じは新鮮。
cold wind
昨夜、仕事からの帰り道、寒かった、とくに環八過ぎてから。自転車に乗っていると冬でも汗をかくのだけれど、その濡れたウェアに冷風があたってとにかく冷たい。昨シーズン、この冷たさを感じなかったのはスピードがそれほどでもなかったからだろうか。
コンビニで雑誌ブルータス立ち読み。最新号はなぜかギター特集だったので。残念ながらSnooks Eaglin、Jerry GarciaとかLink Wrayなど私の好きなギタリストはほとんど載ってなかった。もう少し若いとJohn ScofieldとかBill Frisell、Ry Cooderになるのかなあ、もっと若いとDerek Trucksか。ジミヘンは嫌いじゃないけど、いまさら納豆食べましょうって言われているような気分なんだよなあ。
raise your HR
夜勤明けの帰り道、井の頭通りでMTB乗りに出会う。ゆっくり走りながらパスして行くと、後ろについてくるので、ちょっと頑張って走ってみた。わたしが乗っているとはいえ、ロードバイクにはMTBでは追いつけないことが多いし、あとで見たらわたしとしては平地最高の時速40キロくらいだったのだが、彼はピタリと後ろに張り付いたまま少しも離れず。そのうちいいかげんわたしの息があがってしまったので、赤信号でちょうど止まったところで「早いっすねえ」と話しかけてみると、「ボク昔ロードに乗ってたんです」と息ひとつ乱さず答えてくれた。わたしはMTBでこんなスピード出せないよ、と言うと、青年は「これ(TREK MTB)でレース出たことありますよ」と涼しい顔。きちんとトレーニングしてきた人の余裕を感じた。私のほうはといえば、珍しく心拍数も上がったせいだろうか、体のすみずみまで血がめぐった感じがしてその日の午後はリフレッシュできて気持ちよかった。青年のおかげだ。やはり全行程をチンタラとした一定ペースで走るより、どこか1区間でもシャカリキに走って心拍数を上げると、体にいいのかも。
total: 6014.8km
Tangier
もういまから10年近く前になるけど、モロッコのタンジールという町を歩いていて、喫茶店の前を通りすぎながら、店の前のテラスがほとんど男性客で埋まっているのを見たとき、かなりの違和感を覚えた。座っている男たち全員が、することもなく、ハッピーな感じもなく、行きずりのアジア系ツーリストにするどい視線を送っている感じ。イスラム教だから女性は外出してお茶することもできないのかあ、なんだか不公平だなと思った。ところが「イスラーム不思議曼荼羅」という本を読んでいたら、「喫茶店は男の避難所」というコラムが載っていて、女性たちは近所に住む仲間同士で誰かの家に集まっておしゃべりを楽しむ習慣があり、その間、男たちは外で時間をつぶさなければならないと書いてある。なぜなら、亭主は女友達とおしゃべりしている女房の部屋に入ることができないから。そして、自分専用の部屋を持たない普通の男たちは、しかたなく男同士で喫茶店のテーブルを前に長時間過ごしているとも。なるほど、男たちの表情が冴えなかったのは、そういう理由だったのね、と納得。野町和嘉氏のすばらしい写真が使われたこの本、軽く読めるわりには深い。