“20歳の頃、つきあい始めたばかりの彼の車でドライブに行った。
車内にあったカセットテープのラベルには、可愛いらしい丸文字でドリカムの曲名が書かれていた。
「ああ、元カノの忘れ物か」と、少しイヤな気持ちになりながらも、私は何も言わずに彼とドリカムを聴いていた。
月日が流れ、ケンカをしたり、仲直りしたり、結婚の話が出始めたりしたけど、土日休みの彼と接客業の私の休みが会わずスレ違いが多くなり、5年後に別れた。
元カノが残していったドリカムのカセットテープに胸を痛めてから5年、私も彼の車にカセットテープを忘れてきてしまった。
曲のタイトルは
・鼻から牛乳
・モッコリがニッコリ
・ヤンキーの兄ちゃんのうた
・アホが見るブタのけつ
・小市民
・ゆけ!ゆけ! 川口浩!!
そう、私が彼の車に残したのは、嘉門達夫ベストセレクション。
新しい彼女は、このカセットテープを見て胸を痛めただろうか。
あれから25年、ドリカムを聴くと思い出す。”
