Trieste

きょうも昼過ぎから冷たい雨が夜まで降り続く、寒い1日だった。電車通勤のお供は須賀敦子「イタリアの詩人たち」と「トリエステの坂道」。詩人の話はやはりちょっと遠いまま終わってしまった。こんどは詩集を借りてみようと思う。

トリエステという場所は、通信業界では大手と呼ばれるベンダーの拠点がある町でもあって、わたしは仕事でそこから発送された機器を受け取ったりすることがある。「トリエステの坂」は、彼女のあこがれていたその町にはじめて足を踏み入れたときの不安感、孤独感が強調されていて面白い。

あまりにイメージばかりが膨らんでいて、じっさい行ってみると大したことなかった、というのはいわば「若者の恋」みたいなものなのかもしれない。須賀敦子についてはあまりよく知らないが、小さなころは麻布に住んで、パリに留学、イタリア人の夫が亡くなるまでミラノに住んでいたらしい。

須賀敦子解読というサイトにある池澤夏樹のコメントを読むと、彼がフランスに住みたいと思った理由の一端が分かる。骨の髄までヨーロッパの風土に浸かるという意味では文字通り先達に当たるのだろう。

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