Music Air ChannelというケーブルTV番組は、ときにかなりシブいセレクションを流していて、先日はGibson Brothers、1980年のヒット「Que Sera Mi Vida」を見てからしばらくというもの、そのメロディが頭の中から消えなくて困った。そのチャンネルで萩原健太氏が自ら選んだR&R Hall of Fameのアーティスト10人という番組を見た。
当然のことながら萩原氏の普段の趣味から大きく外れるものではなく、とくに新鮮なところはなかった(笑)けれど、最後にElvisについて触れていて、「アメリカのカルチャーを知るうえでElvisは外せない」と言っていたのが印象に残った。たしかに現在まで脈々と残るミュージック・ビジネスの大枠を作ったのは彼だろうし、その影響力は計り知れない。いまだに音楽業界ではElvisとBeatlesの記録がレファレンスになっていることからもわかる。
昨日「モハメド・アリ その生と時代」を読み終わって、本当の意味でアメリカを知るうえで、アリも外せないのだろうなあと思った。この本には同じ時代を生きたElvisに関する記述ももちろん登場するが、生き様として多くの人々の共感を誘ったのはアリだったということがよく分かる。彼の宗教的な背景や社交生活ぶりを知るにつけ、アトランタ・オリンピック開会式にアリが登場したのも納得できた。
アリはボクシングを通じて自分を表現したわけだけれど、彼の生き様こそがアメリカ社会、そしてカルチャーにとって大きなインパクトだったことは間違いない。「モハメド・アリ その生と時代」は最高の1冊(上下巻)でした。