人間はさまざまなモノを食するが、よくある議論として、「最初にこれを食べようと思った人」の存在がある。たとえば、ナマコとかカニとかパッと見て、食べられるとは考えにくいイメージをもった食材について、自分だったら口に入れようと思わない・・・云々。先日の宴席でもそういった話に。
思い出したのは、ラジオ番組の取材で無農薬野菜の卸会社社長に聴いたこと。最近の食材が多くの添加物を含んでおり、鳥はそういうものを食べないと。まあ、都会のカラスとか鳩を見ているとにわかには信じがたいが、ポイントは自分が食べられるものと、そうでないものを見分ける力があるということ。それは、もう経験からもたらされるものではありえない。
人間にも昔はそういった能力を持っていたはず、いまでもそういう感覚は麻痺しているだけで失ってはいないのでは、というのが論旨だったように記憶している。タオイズムの本とか読んでいると、想像力とか直観こそが大事で、ナマコとかカニを見て、これはイケルと思った太古の人々のイマジネーションの豊かさに感嘆すべきだろう。タオイズムの息づいた中国でありとあらゆるものが食されていることは、これと無関係ではないはず。