
認知症の祖父が祖母に毎日プロポーズしている。
認知症の祖父が祖母に毎日プロポーズしている。
記憶が1日ごとにリセットされるからだ。
祖父の中で祖母は「近所の好きな人」らしい。
毎朝庭の花を1本摘んで
「結婚を前提にお付き合いください」と頭を下げる。
家族は最初訂正していた。
「おじいちゃん2人はもう結婚してるんだよ」
そのたび祖父は混乱して悲しんだ。
でも祖母だけは違った。
毎回初めて聞いた顔で花を受け取るのだ。
そして返事がおかしい。
「考えておきますね」
60年連れ添った夫に毎日保留。
1回もはいと言わないのだ。
私はある日祖母に聞いた。
「なんで受けてあげないの」
祖母は鏡の前で口紅を直しながらこう言った。
「はいって言ったら恋が終わっちゃうでしょ」
「え」
「保留にしておけばあの人明日も来るのよ」
意味がわからなかった。
「あんたは知らないでしょうけどね」
祖母は笑った。
「60年前の本物のプロポーズの時もね」
「私すぐに返事しなかったのよ」
「なんで」
「嬉しすぎたからよ」
「はいと言った瞬間に」
「口説かれる時間が終わるのが惜しくてね」
「考えておきますって言ったの」
「そしたらあの人7日連続で通ってきたわ」
「毎日違う花を持ってね」
「7日目にやっとはいって言ったの」
祖母は口紅をしまった。
「あの人昔からよく言ってたのよ」
「うん」
「人生で1番楽しかったのは」
「うん」
「あの7日間だって」
私は少し泣きそうになった。
祖父の主治医が前に言っていた。
「記憶は新しい方から消えます」
「最後まで残るのは」
「1番古くて1番幸せな記憶です」
祖父は今
人生で1番楽しかった7日間を生きている。
祖母はそれを知っているのだ。
「私が保留にしてる限りね」
「あの人の7日目は来ないの」
「1番楽しい日が毎日続くのよ」
「悪くない老後でしょ」
祖母は毎朝口紅を塗る。
「なんで毎日化粧するの」
「初めて会う設定の女が」
「すっぴんじゃだめでしょ」
2人の毎日はこうだ。
朝祖父がひげを剃って庭に出る。
花を1本選んで玄関から入り直す。
「突然すみません」
「あらどちら様ですか」
「隣町の者です」
「まあご丁寧に」
祖父は緊張した顔で花を出す。
「結婚を前提にお付き合いください」
「考えておきますね」
「明日また返事を伺いに来ます」
「ふふお待ちしてます」
縁側でお茶を飲んで
祖父は名前を聞く。
祖母は旧姓で名乗る。
60年前の名字でだ。
「いい名前ですね」
「ありがとうございます」
「いつか変わるといいですね」
「まあ気が早い」
毎日が初デートだった。
冬に祖父は入院した。
体が弱っていた。
それでも病室のプロポーズは続いた。
花は売店の1輪に変わった。
「結婚を前提にお付き合いください」
「考えておきますね」
祖母は毎日病室に通って
毎日口説かれて帰った。
そしてある朝だった。
祖父がいつもより弱い声で言った。
「今日返事をもらえませんか」
「あらどうして」
「私はどうも」
「あまり長く待てない気がするんです」
病室が静かになった。
祖母は祖父の手を取った。
そして60年ぶりに言った。
「はい」
「え」
「喜んで」
「ほんとうですか」
「ふつつか者ですが」
「末永くよろしくお願いします」
祖父は笑った。
私が見た中で1番いい顔だった。
「人生で1番いい日だ」
祖父はそう言って
その日はずっと機嫌が良かった。
数日後祖父は眠るように逝った。
苦しまなかったと看護師さんが言っていた。
葬式で祖母は泣かなかった。
親戚が心配するくらい静かだった。
帰り道で祖母は私に言った。
「あの人はね」
「プロポーズが成功した直後に逝ったのよ」
「人生で1番幸せなところで終われた男なんて」
「そうそういないわよ」
「大成功の人生よ」
そう言ってから祖母は少しだけ泣いた。
遺品を整理していて
祖母の日記が見つかった。
この2年分のページは
ほぼ同じ1行で埋まっていた。
「本日もプロポーズありお断り」
「本日もプロポーズありお断り」
730日分続いていた。
たまに添え書きがあった。
「今日の花は水仙昔と同じ」
「今日は2回来た得した気分」
そして最後のページにこうあった。
「本日お受けしました」
「60年ぶり2回目」
家族全員で泣いた。
祖母は今も毎朝口紅を塗る。
「もう来ないのに」とは誰も言わない。
「癖になっちゃったのよ」
祖母はそう笑っている。
認知症は祖父からたくさんの物を奪った。
家族の顔も名前も昨日の記憶もだ。
でも奪えなかった物が1個ある。
恋だ。
祖父は最後の2年間
毎朝恋に落ち直して
毎朝花を摘んで
毎朝人生で1番楽しい日を生きた。
それができたのは
毎日初めての顔で花を受け取って
毎日返事を明日に取っておいた
祖母がいたからだ。
プロポーズの返事は早い方がいいと言う。
でもうちの祖母は知っていた。
1番いい返事は
相手の人生で1番幸せな日に渡す物だと。
60年かけて1回目のはいを言って
2年かけて2回目のはいを言った。
世界で1番返事の遅い夫婦は
世界で1番長く恋をしていた。
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nozacs: “プロのミュージシャンが酔っぱらってセッションしていたという話を聞く。 「山崎まさよしがうちあげでドラム叩いてさ。」 「N さんが弾き語りしてたよ」…
“プロのミュージシャンが酔っぱらってセッションしていたという話を聞く。 「山崎まさよしがうちあげでドラム叩いてさ。」
「N さんが弾き語りしてたよ」 それを目撃した人も誇らしげだ。うらやましい。僕の仕事では酔っぱらってホームページ作ったところで誰もほめてくれない。ぐちゃぐちゃにして寝るだけだ。ミュージシャンだと 「照明のスタッフもノリノリで照明当ててたよ」 とかスタッフも優しい。僕が酔っぱらってフォトショップ立ち上げても、だれもノリノリでプリンタつないでくれたりしない。されても嬉しくない。ミュージシャンがモテるのはそういうところかもしれない。ほかの職種だって、たとえば、 「このまえ経理の山田さん酔っぱらって伝票ゴリゴリ書いてたよ」 それもだめだ。かなりだめだ。 いいな、ミュージシャン。”? webやぎの目: 2005年12月 (via kazukij) (via jinakanishi) (via handa) (via detlog) (via kml) (via gkojax)
2009-04-20 (via gkojay) 2010-04-07 (via yasaiitame) (via mitukiii) (via fishandmush) (via shinoddddd) (via theemitter) (via sytoh) (via laft) (via kwskwa) (via jamjamjam3) (via kashiyukalove) (via mcsgsym) (via gkojax-text) (via hzmnryk) (via budda) (via an-k) (via uui-) (via sperm) (via onoholiday) (via ryohei72) (via casiomasasi) (via maepon) (via poochin) (via highlandvalley) (via muuuu) (via mentasm) (via shortcutss) (via mmmmmmmmmy) (via kazoo23) (via neetria) (via gosan-knife) (via dannnao)
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nozacs: “私の内にあなたがいる 私の心の奥底にしっかりすみついてしまったあなた 思いがあまりに深くて、もう私の一部みたいになってしまった 私の心に入り込んでしまったあなた…
“私の内にあなたがいる
私の心の奥底にしっかりすみついてしまったあなた
思いがあまりに深くて、もう私の一部みたいになってしまった
私の心に入り込んでしまったあなた もちろん必死で抵抗した
「こんな恋がうまくいくわけがない」って自分に言い聞かせもした
でもどうして逆らうことできるというの?
こんなによくわかってるのに
あなたが私の中にいることを あなたと一緒にいられるなら
何だって犠牲にするわ
でも夜になると耳のそばで
何度も何度もこんな警告が聞こえるの
「ばかだなあ、君には無理な恋だよ
頭をひやして 現実を見てごらん」 でもあきらめようと思っても
あなたを思うだけで
また恋に引き戻されてしまう
だってあなたは私の一部になってしまったから”?
nozacs: “神道が教祖を持たないのは、もっと積極的な意味がある。それは、 ?教えは人から来るのではない?という考え方である。” ? 神道の神秘 / 山蔭 基央 (via ebook-q)
“神道が教祖を持たないのは、もっと積極的な意味がある。それは、 ?教えは人から来るのではない?という考え方である。”
? 神道の神秘 / 山蔭 基央 (via ebook-q)
nozacs: “I want to go all over the world いろいろな世界を見てみたい And start living free そして自由に暮らすの I know that…
“I want to go all over the world いろいろな世界を見てみたい
And start living free そして自由に暮らすの
I know that there’s somebody どこかにいるはずよ
Who is waiting for me 私のことを待ってくれているひとが I’ll build a boat, steady and true ボートを作るの、しっかりした本物を
As soon as it’s done 出来上がったらすぐに
I’m going to sail along in the dreams 夢へと漕ぎだすの
Of my dear someone どこかのだれかさんの見ている夢の中へ One little star, smiling tonight 1つ星が今夜きらめいて、
Knows where you are あなたがどこにいるか教えてくれる
Stay, little star, steady and bright 小さな星よ、強く明るく輝きつづけて
To guide me afar 私を遠くまで導いて Rush, little wind, over the deep そよ風も深い谷をわたって急いで、
For now I’ve begun わたしもすぐに追いつくから
Hurry and take me straight into the arms いそいで、あのひとの腕の中へ
Of my dear someone まっすぐ連れて行って
Hurry and take me into the arms いそいで、あのひとの腕の中へ
Of my dear someone 連れて行って”?
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