インドネシアに行っていた。時折ザッと激しい雨が降り、道路の剥がれたアスファルトに無数の水溜まりができる。やがて雲間から陽が差し、むっとする空気が僕たちにまとわり付く。蒸し暑い、という言葉の究極のような環…

aoishikaku:

インドネシアに行っていた。時折ザッと激しい雨が降り、道路の剥がれたアスファルトに無数の水溜まりができる。やがて雲間から陽が差し、むっとする空気が僕たちにまとわり付く。蒸し暑い、という言葉の究極のような環境だった。

早朝、東京に帰ってきた。機内で3時間くらいうたた寝した気はするものの頭が重い。空港を出ると、その寒さに思わずわっと声が出る。深呼吸して冷たい空気を胸に取り込む。気温30度の国からマイナス3度の国へ。同じ時間に一方では、むっとする暑さの中でビールを煽っている人たちがいる。この数時間でまったく違う世界線に来てしまったような妙な感覚に陥る。

東京駅のコインロッカーにスーツケースを預けて適当に観光し、正午ごろ駅に戻って構内の飲食店を見て回っていると、店の前に行列をつくるスーツ姿の人たち。僕もその中に混ざって並びながら、自分がこうなる世界線もあったのかなと、ふと、考える。平日の昼。東京でそのまま就職していたら、スーツを着てIDカードを首から下げて、今日はなにを食べようかと同僚と店を品定めする人生があったのだろうか。空腹と寝不足の回らない頭で考えていると、行列に並ぶ一人が、もうひとりの自分…東京で就職することを選んだもう一つの世界線の自分のように思えた。

こっちの道でよかったのか?答えはわからない。一生わからないだろう。だけどスーツ姿の自分も、最寄り駅から家まで歩く道すがら、ふと、同じようなことを考えている気がする。それできっとTumblrに似たようなことを書いている。地元に戻らなくてよかったのだろうか、と。

丸の内で働く人たちと並んでカウンターで蕎麦をいただき、重いスーツケースを引きずって新幹線に乗り込む。冠雪の富士山が紺碧の空にくっきりと映えていた。

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.