結婚してからというもの人生で一番「おめでとう」と祝われている。自分のことに関しては大胆なのに、そこに他人が介在すると途端に臆病になってしまうわたしは、くすぐったい日々を過ごしている。

asagaquru:

結婚してからというもの人生で一番「おめでとう」と祝われている。自分のことに関しては大胆なのに、そこに他人が介在すると途端に臆病になってしまうわたしは、くすぐったい日々を過ごしている。

人に祝われて素直に喜べるような純粋無垢な人になりたかった頃もあった。けれど今はこんな自分で良かったなと思う。寛容に、他の言い方をすれば細かいことに必要以上考えないように、悪い言い方をすれば大雑把になっている。心の機微を客観的に見るようになった。ここ数年でだいぶ生きやすくなった。

新婚ではあるが、寝室は別だ。そもそも同棲をした始めから家にはシングルベッドとクイーンベッドを置いている。夫がひとりっ子が故になのかひとりで寝たい人種なので、日に日に別の寝室で寝る日が増え、今や結婚して1ヶ月の間に同じベッドで寝たのは2日間だけだ。今の状態に至るまで寂しく思う夜は何度もあったが、これにも慣れた。これを変だという友人もいるけれど、お互いの寝相や就寝時間の違いを考慮した結果、睡眠効率を上げるにはこれが一番良い。寝室が別だからと言って気持ちが離れることはないのだし。ただ一つ、就寝時に心臓発作を起こしたら気づいてもらえないなと思っている。

そうこうしている間に、春の匂い。陽だまりの匂い。暖かくなって、雪がなくなって、外気が匂いをはらむようになった。今日は蕗のとうが土から顔を出しているのを見た。「冬は雪が匂いを吸着させてたのかな」と夫に話したら「冷凍庫に生ゴミを保管するのと同じじゃない?」とのこと。なんて可愛げのない表現。かも言えば、これは生きているものたちの匂い。死に向かっていくものの匂い。また季節が一巡りする。