語らいの中で私たちは求め合い、抱きしめ合い、理解し合った。詩には詩で返し、歌には歌で返し、論理には論理、ジョークにはジョークで返した。
もちろん愛の言葉には愛の言葉で返した。
ふとした時に交わすハグは格別だった。
彼の孤独や悲しみや寂しさ、喜びや祈りを動物的感覚で感じ取ることができた。
彼もまた同じだったと信じている。彼の死を知らされた時から、私は泣いていない。泣けなかったし、泣いてはいけない気がした。身を裂かれた想いだったし、彼を交通事故に巻き込んだ乱暴な運転をした青年に何かひと言言いたかったが言わなかった。
彼はすぐそこにいた。誰にも見えてないようだったが、確かにいて、生きていた時のように、陽気でダジャレ三昧でエロかった。あんた、死んでも何も変わらないんだね、と呆れるぐらい変わっていなかった。くしゃみも馬鹿でかいし、寝言も意味不明なことを叫んでいた。
ただ私以外には見えてなくて、彼の存在感を改めて感じて、みんなの喪失感の深さにたじろいだ。目立たない人だったけど、目立たないように大変有意義なことわやっていた人なんだと感じた。
私は彼の今でも生きているように、飄々と私のそばで、くだらないジョークで場を凍り付かせながら私を暖めてくれている。