福島県の大熊町に、「読書屋…

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福島県の大熊町に、「読書屋 息つぎ」という本屋さんがある。ここを唯一無二の「息つぎ」たらしめるいくつかの要素がある。ひとつめは、夜の三時間だけ開くこと。だいたい六時に開店し、九時には閉店する。そして、本が並ぶスペースに屋根や壁はなく、野外の店であること(雲のない冬の夜は、星がとても綺麗に見える)。最後に、「読書」という体験そのものを提案することだ。

? 川内有緒著「読めること/読めないことの先」(學鐙企画・編集委員会『學鐙』秋号〈第121巻第3号〉、2024年9月、丸善雄松堂)

元彼がいる支店で勉強会があった。昨年度まで私がいた支店の後輩とも会って、喫煙所まで着いて行って今の店の様子はどうだとか色々話していた。そこには1人、2年前まで私たちの店にいた先輩もいて、いわゆる同じ店に…

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元彼がいる支店で勉強会があった。昨年度まで私がいた支店の後輩とも会って、喫煙所まで着いて行って今の店の様子はどうだとか色々話していた。そこには1人、2年前まで私たちの店にいた先輩もいて、いわゆる同じ店にいた現メンバーと元メンバーがいる状態。久しぶりですね、と喫煙者である2人に混じってタバコを吸わない私も話に入れてもらっていたら、勉強会には参加していなかった元彼が一服しにやってきた。振り返って、互いが互いを認識してから、1秒もせずに顔を逸らした。別れたことはもちろんその場にいた2人も知っているから、後輩が話を続けてくれた。ろくに味わえもしないくらいの短時間でタバコを吸い終えて、そそくさと室内へ戻って行く彼。「気を使わせちゃったね、ごめんなさい」と謝ると、「マジで何も話さないんすね」と後輩に言われてしまった。前に飲み会で言ったことあるから。正直、別れて以来ちゃんと姿を見るのも初めてだった。私の店にかけてきた内線を3回ほど取ってしまったことはあったが、全部敬語で世間話なんか全くしない最低限のやり取りだけ。本当にこの人と付き合っていたのか?とすら思えてきて、自分が自分じゃないかのような感覚。「まぁ、そのうちなにも無かったかのように話せる時が来るよ」とiQOSを片手に先輩は言うけど、そんな日は来るのかなぁ。

それが金曜日の話。で、今は月曜日の朝5時19分。時間差であの時の出来事が効いてきた。金曜日は泣かなかったのに。じゃあ話しかけてもらいたかったのかと聞かれると、そういう訳じゃない。ただ、半年前まであれだけ大好きだった人がこんなにも遠くなってしまったことが辛かった。0.7秒くらいの時間だったけど、顔を見たらやっぱり気持ちが溢れてきそうでそれには見て見ぬ振りをした。私もうすぐ26歳のいい年した大人なのに。ださすぎる。たくさんの人と付き合ってきた訳じゃないから、その人との思い出のひとつひとつを大切にとっておきすぎてしまう。私の良いところであり悪いところ。大したことない、たかがごくありふれた恋愛経験の一つなのにまるでプレイリストのように名前をつけては大事に保存して持ち歩いて何回も再生ボタンを押してしまう。執着を手放すのって、こんなにも難しい。