“金箔の貼られた屏風なども、上からの照明で見ると背景が黒く沈んでしまいます。けれども、屏風と云うものが置かれた環境を考えた時、上から照明が当たることは本来考えられません。昔は天井に照明はありませんから、基本的には昼は窓から、夜は燭台からの横に入ってくる光の下で見たはずです。横から光を当ててみると、金箔と云うのは透けて見えるのです。
これを美術館で体験するには、しゃがんで見るのが一番です。少し見上げるようにして見てみると、光の入射角が変わって、途端に金がふわっと明るくなります。奥行きが出て、一種のイリュージョンのように感じられるはずです。”? 『ヘンな日本美術史』 山口晃 祥伝社 P78 (via manmaruhana)