「あのー、これは何ですか」
「ああ、これ、ポットです」
「ええっ、ポットですか!?」
「ええ。娘が懸賞に応募したら当たりましてね。
でも届いた物を見て恥ずかしくて使えないって、
せっかく当たったのにそのままにしていたんです。
震災があって、避難所にポットが要るからって
これしかなくて持っていったら、もう大笑いで。
こどももお年寄りもみんなお湯を汲むたびに笑うんです。
あちこち避難所を廻りましたが、どこでも笑いがおきて
このポットのおかげで癒されたって。
こんなに喜ばれるなんてね。持っててよかったです」