“平清盛というのは、物品ではなくて貨幣を輸入するという世界にも例を見ないユニークな貿易システムを産みだした人なんですね。 日本人には自覚はありませんが、こんなにひたすら貨幣を輸入し続けた国は世界史にありません。金を輸出して、価値が劣る銅を輸入していました。あるいは工芸品とも言える日本刀を輸出し、銅を型に流し込んだだけの銅銭を輸入していました。多分宋元明の商人は日本人はバカなんじゃなかろうかと思ったでしょう。 でもこれ、経済的には非常に合理的な行動です。貨幣を貯め込むのが経済成長の条件だからです。いくら価値の高い貴金属や工芸品をため込んでも、経済活動は活発化しませんが、流通する貨幣が増えれば人間の活動は活発化します。 しかも東アジア共通の貨幣である宋銭(明銭)を自国の通貨にしてしまったわけで、これだと為替損益や手数料が発生しません。 平家が生み出したこの世界にも例を見ない貿易システムはもっと、世界史・経済学で注目されても良いと思います。日本がアジアで真っ先に近代化に成功した理由があるかもしれません。 当時の日本も、工業技術は売るほどあったけれど、肝心の流動性が不足していて、平安時代の停滞がありました。しかし平家が貨幣を輸入するシステムを作ってくれたおかげで日本の経済は飛躍的に成長するのです。 従来の歴史学では農業技術の進歩だけで、鎌倉〜南北朝の生産力増加を説明していたのですが、経済学的な目で見れば、銅銭輸入システムのインパクトの方が大きいはずです。”
? 平清盛の力の源泉: 静かなる細き声 (via tkcs)