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nozacs:

“【羽生善治:たとえばスランプのときなどは、何でもいい、小さなことでいいから、何を変えてみるといいと思います。早起きをするとか、服装を変えるとか、新しい趣味を始めるとか。生活の中に、そんな小さな変化やメリハリをつけることで心の停滞が防げるところがあります。そうして精神の流動性が高まれば、メンタルコンディションも上向きになっていくはずです。 岡田武史:その気分転換が私が下手くそでしてね。コンサドーレ札幌の監督をやったとき、契約時にはJ1だったのが、就任時にはJ2に落ちていました。そんなのすぐに昇格させてやると思っていたのに、なかなかうまくいかなくて悩みました。
 北海道には単身赴任でホテル暮らしをしていたんですが、ホテルの部屋で試合のビデオなどを見ながら、ああでもない、こうでもないと打開策を考え続けます。それが仕事ですし、考えるのをやめたら監督は務まりませんから、食事をしている間も風呂に入っているときも、バカみたいに考え続けます。でも、考え続けているとやっぱり煮詰まってくるんです。
 そんなことを電話で家内にグチったら、「お父さん、マンションへ引っ越しなさい」といわれましてね。引っ越せば、自分で掃除したり、洗濯したり、ご飯をつくったりしなくちゃいけない。それが気分転換になるからというんです。引っ越したら、家内のいうとおりでした。つまり、精神の安定に重要なのは生活なんですよ。メンタルコントロールにはふつうの生活が何より大事なんです。 羽生:勝負とは無関係の日常生活が片方にきちんと担保されている、そのことが大切なんですね。たしかに盤上を離れて、ふつうの生活、ふつうの時間が流れている場所に身を置くとホッと安心します。 岡田:でしょう? 負けて歯ぎしりしながら家に帰ってきたら、おやじのそんな感情や思惑とはまったく関係ない、ふつうの人間の暮らしがそこに展開されている。それは苛立ちよりむしろ慰めや癒しのほうがはるかに大きいことです。
 自分にとってサッカーは生きるか死ぬかの、厳しい気の抜けない世界だが、他の人間にとってみたら、勝とうが負けようが別にどっちてもいいことだ。その事実の自覚は大切なことで、心をなごませてくれるシェルターにもなるし、自分の世界にのめり込みすぎないよう距離をとってくれる作用もあります。それがすなわち、効果的なメンタルコントロールにもつながるんじゃないでしょうか。】”

? 活字中毒R。 (via toronei)

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