これまで観た彼の作品は、だいたいがスコットランドが舞台になっていて、いつも強い訛りの英語という印象があるけど、「やさしくキスをして」も同様、そういう意味ではローチ節。ラブ・ストーリーを基本にしつつ、宗教と家族がどれだけ個人の生き方に大きな影響を与えるか、についてローチ御大が映像化してみせる。なかなか秀逸なラスト・シーンにホロリと来てしまうのは年齢のせいかも知れないなあ。
DVDを観たあとで、いろいろ検索していたらケン・ローチが今年のカンヌでグランプリを受賞したことを知った。日本公開はちょうど今月なのだが、東京ではわずか2つの映画館でしか見られないらしい。ローチのマーケット規模にふさわしいのかも知れないが、カンヌ最高賞を受賞することが分かっていたら、もうちょっと増えていたのかも。
それからクストリッツァの新作が今年公開されてたこと、欧州映画事情に疎くなっている自分にも気づいた。多額の広告費が使われる大作の状況はTVなどで嫌でも目にするけど、ヨーロッパの優れた作家の動向については自分で調べないとダメみたい。