パッケージもユニーク!
つい先日、「ミリオンダラー・ベイビー」でオスカー4部門を制覇したクリント・イーストウッド。最近、過去の出演作をDVDで見ている・・・その彼が監督、主演をつとめた「アウトロー」(1977年)は南北戦争のころを舞台にした西部劇の傑作といわれているらしい。細部にこだわらず見れば、イーストウッドらしさが感じられるストーリー展開と後味を堪能できる。まだ煙の立っている焼け跡から素手で自分の銃を拾い上げたり(銃身が熱すぎると思うぞ!)、農夫だった主人公が視力にも影響あるんじゃないのかと思われるほど顔に深い傷を負いながら、早撃ちになる過程があまりにも早すぎるなあ・・・などとひっかかるところはある。ただ、コンセプトは「フォレスト・ガンプ」を先取りするものだし、西部劇というスタイルで演出された「渡る世間は鬼ばかり」ということで見ればかなりユニーク。アメリカ合衆国建国200年の特別企画だから、ある程度ファンタジーも必要だったのかもしれない。どだい私にとっては西部劇じたいがファンタジーなのに、そこにリアリティを求めてしまうのはおかしいことだ。とはいえ個人とコミュニティを謳いあげるこの作品が建国記念の企画としてまかり通るアメリカは不思議な国だ。そして、その国で社会的なアウトローを描き続けるイーストウッドは本当にユニークな映画作家だと思う、あの「華氏911」を撮った人物よりずっと。