Sympathy for Mr. Vengeance

2002年「復讐者に憐れみを」は、「JSA」「親切なクムジャさん」とあわせて復讐3部作を構成しているとのこと、残念ながら「JSA」と「クムジャさん」は見てない。

この映画がテンポ感を持っているとしたら、よくいえば大陸的、アンゲロプロスとかタルコフスキーくらい雄大なリズムを刻む(ちょっと言い過ぎか)。だが、いまのわたしには間延びしたように感じられ、どうも歯がゆいというか、しっくりこない。主人公が工場で働くシーンや唐突なベッド・シーンなど、何ナノこれ・・・と思ってしまう。ペ・ドゥナが出てなかったら完全にアウト。

グロテスクなシーンも多く、荒涼とした社会と人間関係が強調されている。が、持てるものと持たざるもの対比を描くのなら、(いまのわたしにとって)フラナリー・オコナーを超える作家はいない。わたしはフラナリー至上主義なのだ。「復讐者」に宗教的なバックボーンとか、差別主義のようなものを求めるのはお門違いだろうが、どんなに凄惨な場面も「善人はなかなかいない」の不気味さ、背筋の凍るような恐怖感を引き出しているとは思えない、なんだか単にキモイだけ。

ただしペ・ドゥナのファンは必見、彼女の俳優としての幅の広さが出てる。DVD特典映像では「もっとも印象に残っているシーンは、ソン・ガンホに拷問される場面」と笑顔でインタビューに答える彼女が見られる。

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