Tweets on 2009-08-12

Tweets on 2009-08-11

La Seine

池澤夏樹がフランスでの生活をつづった文章をまとめた「セーヌの川辺」。わたしはこのひとの小説よりもこういったエッセイやルポの方が好き。とくに読書や作家に関するコメントには、読んでみたいーと思わせる力があるのです。今回はロレンス・ダレル「アレクサンドリア四重奏」が彼の作家としての発火点であったこと、20歳で衝撃を受けたポール・ニザンのこと、そのほかフィレンツェで訪れたドゥオーモに託して彼自身の創作スタイルの一端が書かれてたり、とても興味深かった。西脇順三郎の「Ambarvalia」が出てきたときには、なんというシンクロニシティ・・・と。そしてもちろんフランスという国の成り立ちや、そこに暮らす人々の考え方、「自由、平等、友愛」の意味が分かりやすく説明されていて秀逸。

博覧強記ぶりはあいかわらずだけれど、下記ちょっと疑問に思った部分もいくつかあり。

  • 「日本料理では長時間の加熱という手法がない」 p.45
  • ラーメンは長時間加熱をしてスープをとる立派な日本料理、国民食だと私は思う。あとカツヲ節って長時間加熱しなかったっけ?何をもって「日本料理」とするかの定義がないままだと、説得力に欠ける。

  • 「日本では人は一神教の神を知らないままに生きてきた」 p.200
  • 外部からの文化、文明の移入について日本ほど積極的な国はないと思うが、そんな国のひとたちが一神教を知らないわけがない。ただ日本という風土に馴染まなかった、もしくは理解しようとしなかっただけじゃなかろうか。白川静の「日本人は宗教を超越しとる」という表現の方が納得いく。

  • 「モンスーン地帯にある日本では人は自然をそのままにして愛でることを習慣にしてきた」 p.290
  • 源氏物語を読んでいる限りそんなことはない。荒れ果てた邸がどれだけ寂しく、評判を落とすかが書かれてる。むしろバランスが大事で、何が何でも自然そのままを愛でてたことはないと思う。

  • 「なぜ日本では川や運河が発達しなかったかを考えてみよう」 p.292
  • 江戸や堺では商業が盛んになると同時に運河が都市部の物流を支えていたという認識だったので、この記述には違和感を覚えた。宮本常一「塩の道」にも日本の河川が輸送に果たした重要な役割が書かれていたはず。今はすっかり失われてるが。

こうやって書き出してみると、日本についての記述が多い。ただ以上は自分の為のメモであって、この本の価値を貶めるものではない。この本でみつけた、知ることになった事は、これから先たくさんの楽しみをもたらしてくれそうな、そんな期待を感じるとてもいい本だと思う。なのでメモっとかないとね。

松岡正剛の「アレクサンドリア四重奏」レビュー

That’s What Love Will Make You Do

ことしのツール・ド・フランスは、堪能とまではいかなかったけれど、それなりに楽しめた。先日ドーピング検査陽性のニュースが出たものの、期間中じゃなかったせいか、それほどインパクトがなかった気がする。仕事終わって帰ってきて、リラックスしながらツールのステージを観戦する、なんという贅沢。選手たちは期間中、ほぼ毎日走り続けるので、その疲労とか消耗とか半端ないだろう。それでもピレネーを登り、アルプスを登り、平坦地は時速40、50キロとかで駆け抜ける。3週間のうちに3500キロって、並みの人間じゃない。わたしが同じ距離を走ろうと思ったら半年以上かかる。しかも平坦地のみで。

それで想起されたのがジェリーのこと。沢田研二ではなく、ガルシアの方。最近Jerry Garcia Bandの1978年に行われたライブの全録音をコンプリートシェアしようというプロジェクトが進行中で、先日その第1弾が公開された。1978-02-18> 1978-03-16という期間で9.46GB。全部で25GB前後という膨大な量だ。このおっさんはGrateful Deadという怪物バンドのリーダーでもあるわけだが、その活動とは別に自分のバンド、そのほか時間の許す限りあらゆるセッションに参加していたツワモノ中のツワモノ。しかも78年は前年の映画制作時から常習しはじめたクスリの影響下にあったはず(このころのドラッグへの没入が彼の寿命を縮めたとわたしは解釈してる)。そんななか80年代前半には徐々にパフォーマンスの質を落としていったらしいのだが、78年時点での演奏を聴くとそんなことは微塵も感じさせない。むしろ最近のわたしのお気に入りでさえある。これはいったいどういうことなのか?当時の録音を聴くにつけ、「ジェリーは常人じゃない」感は高まるばかりである。最近のツールではドーピングした選手は資格を剥奪されるが、ドーピングしまくったジェリーがステージ出入り禁止にならずにホントによかった。結果的に彼の音楽人生を縮めることになったとしたら残念だけれど。

彼の命日に。
http://en.wikipedia.org/wiki/Jerry_Garcia

Tweets on 2009-08-06

  • 夜勤明け、神田駅まで歩いているところ。さっぱりしない空から雨粒 #
  • かつやで朝メンチカツカレーを頼む #food #
  • 新宿ヨドバシでケータイのACアダプタ購入。けっこうポイントたまってた #shopping #
  • ついにDorival Caymmiボックスをゲット、しかも10%引き。マディ箱以来だ、こんな枚数多いの。ユニオンの策略にハマってるオレ #shopping #music #Brazil #
  • あまりにも暑いので缶ビール買う #shopping #drink #
  • 犬の散歩中。暑いのに元気そうだ #dog #
  • 次男が部屋でカブトムシのフン拾いしてた #photo
    http://f.hatena.ne.jp/twitter/20090806121933 #
  • 家カレー食べて、くつろぐ。これから仕事なのだ #food #

Ambarvalia

夏風邪をこじらせてから肩こりになって、それが首の痛みに発展していた近頃、あることをきっかけにそれらの痛みからすっかり解放された。何のことはない、単に姿勢を正しく保つこと。自宅でも職場でもPCに向かう時、あと電車に乗って移動するときなど、どうも猫背で足を組んでみたり、変な姿勢でカラダによくなさそうな感じはしてたのだけれど、つい癖になっていた。それで、寝転がっているときにも首の痛みがひどく、つらかったので、ためしに寝たまま背筋をピンと伸ばしてしばらく横たわっていたら、その後がずいぶん楽になっていた。そのときは呼吸にも気をつける、とくに息を吐くとき、腹式呼吸を意識する。お、これは!と、その後は起きて歩くときも作業時、テレビを眺めるときにもなるべく姿勢を正していたら、肩こり、首の痛みはすっかりなくなってしまった。んーこんな簡単なことで。もともと人生で肩こりという現象をほとんど感じたことがなかったので、最初は冷房のせいかと思っていた、それも一理あると思う。カラダが必要としている以上に冷やしたために、冬の寒いときに身を屈めるように、知らないうちにおかしな姿勢になっていたのだろう。年齢とともに体力が落ちてくると、そんな些細なことで身体の中の管みたいなものが曲がったり、ゆがんだりして思わぬ不具合を生じさせることになるのではなかろうか。

毎回硬軟取混ぜ、興味深い記事を提供してくれる「極東ブログ」は、いつもチェックしているサイト。そこで「崖の上のポニョ」レビューが投稿されてた。先月鳴り物入りでDVD化されたばかりだから、見てる人も多いと思う、映画を。ちなみに私は子どもたちと映画館で見た。そのときは宮崎駿入門にはもってこいなんじゃないかという感想を持ったけれど、Finalventの手にかかるともっと深い、ずっと深い作品ということになる。詳しくは本稿に任せます。わたしがこの記事で引っかかったのはポニョとの比較で紹介されていた西脇順三郎「旅人かへらず」という作品のこと。

Finalvent曰く

個人の人生に出現する具体的な体験の情感を、その具体個物から共有的な無意識に移し、瞑想的に深遠なるものを暗喩する手法である

ポニョを見て西脇を想起したそうだ。んーいったいどういうことなのか、一度読んだだけでは分からない、気になる文章である。

というわけで夜勤明けに神田駅前の啓文堂で購入した。戦前に書かれた「Ambarvalia」、戦後の「旅人かへらず」が一緒に収められて、発行当時のカバー写真のほか、新倉俊一による簡単な評伝と年表も収録している充実した内容だけれど、わずか230項ほどの文庫本に1,300円とは文字通り破格。日本の詩に与えた影響が大きいとか知らなくても単純に楽しめそう。さっそく、見つけたオモシロフレーズを抜書き。

脳髄は塔からチキンカツレツに向つて永遠に戦慄する

ナンノこっちゃ。1930年代にこんなこと書いてたなんてスゴ。