坂本龍一「音楽が自由にする」、図書館で偶然見つけたので読んでみた。正直なところYMOにも戦メリにも教授的な部分にはほとんどシンパシーを感じないし、モレレンバウムもピンとこなかったアタシ。ほかにもソロアルバムなど、いろいろ聴いてはいるのだけれどナゼなのだろう。日本を代表する音楽家で、彼が作ったいくつかのメロディを口ずさむことさえできるのに。まったく漠然としてるけど、なんかこう熱いパッションとかソウルを感じることができないのよね。彼の音楽こそが「クール」なのだと評する向きもあるのかもしれないが、それではメシアンの「鳥のカタログ」にホトばしるパッションを感じる自分との折り合いがつかない。久石譲の音楽もそうなんだけれど、単にわたしの感受性がある種のレセプタを欠いているのかもしれない。残念ながらそういった齟齬はこの本を読んでも理由は明らかにならず。けっこう熱い若大将ぽいところがあったんだー、とは思ったが、YMOの成功によって彼の人生は大きく変わったという月並みな感想しか浮かばん。それにしても自分を活かしてくれる環境に自身を滑り込ませる才能に長けているのね。
内田樹「日本辺境論」。こちらは図書館に入荷するのを待てず購入。あーインテリの本ってスゴいね。言ってることは大体理解できるのだけれど、それを他人に説明しようと思うとすごく難しい。そういう本。まわりを先導する立場に至ると思考停止してしまうのが日本人って、それじゃ日本の政治家に何の期待もできないじゃないか。それでもここまで国が滅ぶようなことにならなかったのは、目指すところがあったからということなの?それにしても過日再放送していたNHKスペシャル「証言ドキュメント 永田町・権力の興亡」で、多くの有名政治家へのインタビューから権力闘争に明け暮れる政界の日常が浮かび上がってきて、見ててホント情けなくなった。蓮ホウの必殺仕分け人なんてかわいいもんだ。
福岡伸一「動的平衡」。以前、新書で読んだ「世界は分けてもわからない」と重複する部分も多いけれど、それなりに面白かった。これまでも仏教や文学など、形を変えて語られてきた「生命とは何か」について、分子生物学という分野からでも説明できますよーというハナシ。オカルトになることを避け、あくまでも科学的アプローチを重んじる著者が、本書の最後の部分でライアル・ワトソンの著作に触れ、非常に感銘を受けているのが新鮮。カスタネダまでもう一歩だ。