y-kasa: “俺の親父は本当にケチで、ガキの頃に外食なんて本当に稀で、行ったとしてもファミレス程度。高そうなレストランなんて行った記憶がない。海外旅行なんて夢のまた夢。同級生は皆、お盆にハワイだの…

y-kasa:

“俺の親父は本当にケチで、ガキの頃に外食なんて本当に稀で、行ったとしてもファミレス程度。高そうなレストランなんて行った記憶がない。海外旅行なんて夢のまた夢。同級生は皆、お盆にハワイだのグアムだの散々行ってたっけな。羨ましくてしょうがなかった。アディダスの服、ナイキの靴、最新のゲーム機。どれも自分は持ち合わせず、友達のものを羨む日々。うちの車も本当にショボくて、デッカい外車に乗ってる友達の親を見て、自分の家の車と比較して本当に恥ずかしかったな。とにかく質素な暮らしを好む、そしてとことん無趣味な親父の姿に俺はいつも残念な気持ちだった。こんな親父みたいな虚しい人生は歩みたくないなと。やがて成人し、社会人となり数年経ったある日、中学校時代の同窓会があった。久しぶりに会話をする中で、俺はある事に気づいた。同級生たちはみな奨学金の返済を抱えていた。俺はそんなものは抱えていない。親父の金で大学を卒業した。銀行に内定した、と伝えたら、親父は本当に喜んで、簿記が必要だから、と在学中に資格学校にも通わせてくれた。今になって思い返せば、とにかく教育には金を使ってくれていた。習い事も両手で収まらないほどやっていた。子を持つ身になり、それがどれだけ金銭負担になるか理解できる。弟は1浪し、最終的に院までいった。これも当然、奨学金などに頼らず親父の金でだ。そして二人とも上場企業に就職した。ある日、実家に帰省した時、親父の部屋の本棚を見たら俺の出た学校や勤務先の記事をスクラップしたノートがあった。優秀な弟に比べて馬鹿だった俺の高校や大学。1つでも偏差値が上がると喜んで母に報告してくるんだと。あいつの出身校が〜と。うちの銀行の不祥事の記事も貼ってあった。大丈夫か、としつこくLINEしてきたのはこういうことか。散々既読スルーしたことを今更ながら後悔した。ノートの話をしたら、母はこう言った。「あの人の趣味はあなただから。」親父は無趣味なんかじゃなかった。親父はケチで質素なわけじゃなかった。お金の使い方が他人と少し違うだけだった。親父は最近身体を壊した。長く外を出歩けないようだ。先日子供を連れて会いに行った。記念日でもないのにやたらおもちゃを買い与えたがる。俺には買ってくれなかったのに。「親父、ありがとうな」小躍りして喜ぶ息子を見ながら微笑む親父に話しかける。「遊んであげたいけど、身体が言うことを聞かない。もう、こんなことぐらいしかできないから。」親父が呟く。俺はこの人を超えるような立派な人生を歩めるのだろうか。ろくに親孝行できていない焦りと、子供二人に対する責任の重さを感じ、気が重くなりながら帰路についた。”

? ゼファー@銀行員 / Twitter

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