nozacs: “前座見習いとして寄席の楽屋に出入りする前だったと思う。 歌丸のかばん持ちとして出かけたときのこと。交差点で歌丸が足を止めた。…

nozacs:

“前座見習いとして寄席の楽屋に出入りする前だったと思う。 歌丸のかばん持ちとして出かけたときのこと。交差点で歌丸が足を止めた。 「歌児(前座のときの歌助さんの名前)、あの信号の色は何色だ?」 「赤です」 「赤じゃなくて、あれは青だ」 何を言い出すのかと思ったが、師匠の言うことは絶対だ。歌丸だから、というわけではない。落語の世界では、先輩や師匠が言ったことに盾をついてはいけないのが常識だ。 だからわたしは「すみません、青でした」と答えた。 「そうだ青だ。だから渡りなさい」 目の前を車がひっきりなしに通り過ぎていく。ここは渡るべきか。渡ったら交通事故に遭うだろう。歌丸は止めてくれるのか? 躊躇しているうちに信号が青に変わった。 「歌児、いいかい、こういうときは”わたしはかばん持ちなので師匠、おさきにどうぞ”ぐらい言うもんだ」 歌丸の口元にはかすかに笑みがこぼれていた。 あの言葉は、初めて楽屋入りする弟子へのはなむけだったと思っている。「理不尽な言いつけに対してはシャレで返せ」という。”

?

師匠 歌丸 背中を追い続けた三十二年 | 桂歌助

via:
桂歌丸に学ぶ「理不尽な言いつけ」の返し方。

(via drhaniwa)

Leave a Reply

Your email address will not be published. Required fields are marked *

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.