チャンピオンズ・リーグのグループ・リーグ第2節、現地9月29日に行われたルビン・カザン対インテル。ルビン?カザン?いったいどこのクラブなんだよー、と思いつつ、調べてみるとなんとロシア・チャンピオンだったのね。その本拠地、ツェントラリヌイ・スタディオンはモスクワから800キロも東にあるので、キックオフも通常の欧州時間からは大きくずれ、日本のインテリスタにやさしい日本時間深夜1時すぎ。雑魚相手にインテル楽勝を予想した人も多かったと思うが、フタを開けてみれば予想を裏切るカザンの大健闘、ジョゼのネッラズーリは中盤の中心選手を欠くとはいえ負けてもおかしくない試合内容。結局1-1ドローに終わってわたしは深夜ひとりふーっ、と複雑な気持ちのまま床に就くことになった。
それから数日後、図書館で前から気になってた亀山郁夫「甦るフレーブニコフ」を借りて読み始めると、なんと出てきたのが、そのカザン。そして「ロシア詩の王」とも称されるヴェリミール・フレーブニコフが学んだのが、かの地のカザン大学。トルストイやレーニンが学んだことで知られる最高学府で、ロバチェフスキーというこれまた名前だけは聞いたことがある著名な数学教授の存在が伝統に息づいているらしい。20世紀初頭にこの詩人が入学したのがその数学科だったそうな。
ヴォルガが「ぼくは」といえば、
揚子江は「愛」と
ミシシッピーが「する」といえば、
老ドナウは「すべての」とつぶやき、
ガンジスの水が「世界を」と答えて
川の偶像は
緑の沃土を描くだろう。
ステキだねえ。1920年、フレーブニコフ35歳、死ぬ2年前に作った「ラドミール」という詩の一部(亀山郁夫訳)。風が吹いて桶屋が儲かる感じ、とはちと違うか。偶然の一致とはいえフレーブニコフとわたしの出会いは必然なのかもと勘違いしてみよう。それにしてもこの伝記けっこう面白い。1905年に日露戦争でバルチック艦隊が壊滅したことに大きなショックを受けたことが「対馬」体験と表現されていたり、ロシアでの調査で詩人の肉筆がほとんど判読できなかったとか、少ない資料の中からフレーブニコフの人となりについて一生懸命書こうとする姿勢が伝わってくる。フレーブニコフその人も生涯の夢がインド散策だったり、日本語勉強してたり、ロシア・アバンギャルド派という分類になるらしいが、考えてること、そしてその表現が、当時としてはかなりグローバルというかユニバーサル。ただ彼の作品は日本語翻訳が少なく、まとまった詩を読もうと思ったら英語訳になってしまうのが残念。
飛ぶ取り落とす勢いの酒造メーカー、霧島酒造が限定で販売してる「吉助」、これがG-Taste。きょうためしにスーパーで買ってみた。裏ラベルに書かれている解説文がオカシカッタので、引き写しておく。
「G-TASTE」至福の味わい領域へ
1916年初蔵出し、創業者江夏吉介の質実剛健の気風は、百年の時を経て究極の味わい「G-TASTE」を誕生させた。純粋さ(GENUINE)、穏やかさ(GENTLE)、優美さ(GRACEFUL)、この3つのGの融合が時空を超えた至福の味覚「Gテイスト」の新たな扉を開く。
伝統と革新を両立させたい気持ちは分かるが、中途半端なシュールさに苦笑して首を傾げてしまった。ラベルのデザインはけっこうステキなのに、もったいない。裏ラベルを注意して読むひとはあまりいないからいいのか・・・。ちなみに今日のつまみは味付け海苔「わさび」。韓国海苔のわさびバージョンといったところか。ウマイ。わさびって偉大だ。