via For The Love Of Harry
きょうはニルソンの命日なので、夜勤明け昼飯後にひとしきり熱唱。というか、最近いつもだな。
電車通勤で橋本治「夜」読了。先日内田樹との対談本を楽しく読んでから、あれ、そういえば橋本治の小説を読んだことがないや、と気づき図書館に行ったら、ちょうど見つけたのが、去年の6月に出たばかりのこの短編集だった。大人の小説だね。高校生がこれ堪能できるかっていうと、ちょっとまだ早いかな。状況設定を変えながら、同じテーマ(恋愛、結婚、そして裏切りなど)で書かれていて、精神的な恐怖や不安という点でフラナリー・オコナーに通ずるところがあるんじゃなかろうか、と。フラナリーの場合は背筋が凍るというか、身の危険を感じるような恐怖感、つまり体が滅ぼされるような感じだけど、橋本はそこまでの切迫感はなくて、体は何とか持ちこたえられて、気持ちの持ちようで明日からは何とか元気に暮らせるんじゃないの、という希望がある。震度でいうとフラナリーはマグニチュード8、橋本の場合はマグニチュード3くらいかな。ただ、こればっかりは強けれゃいいってもんじゃない。フラナリーって読んでると吐き気を催すくらい刺激が強い、だから好きっていうところもあるけど限度ってものがある。日本の読者には橋本のこれがフィットするはず。内田樹が指摘するようにすぐれた作家だと思う。