2年8ヶ月

入門した日のことはよく覚えている。あの地震からほぼ1ヵ月後の4月15日。こりゃ自転車なんか乗って仕事場行ってる場合じゃなくて、なんとか生き延びる力を身につけたいと思っていたのかどうかあやしいが、とにかく朝稽古に伺って見学させていただいた後、申込書を書いて、応対してくれた原さんと道着のサイズを確認していたら、横で見ていた多田先生が「上は5号だな」とひとこと。それで、はじめて袖を通す合気道の道着の上は5号、下は4号となった。内田樹先生の文章を読んだのがきっかけで、月窓寺に足を踏み入れたアタシにとっては、初日からかなり嬉しい出来事だった。

それから2年8ヶ月後、多田先生に初段をいただいた。それで、黒帯の長さをどうしようか、あの日と同じ原さんと多田先生から、いま着けている帯のサイズはいくつ?と訊かれたものの、サイズのタグはすっかり擦り切れてしまい、まったく分からなくなっていた。上に合わせたなら5号だが、下だと4号なんですが・・と煮え切らない回答を残したまま、その場は終ってしまった。

12月の昇段審査ってなかなかいい。気持ちにも区切りがついて、新年を迎えられる。酒ばっかり呑んで、肝心の生き延びる力については甚だ心許ないが。